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『ドグマ』stage-0

ドグマ
教義、教理、ドグマ、独断的な意見
研究社 新英和中辞典より

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土熊 頑(つちくま がん)、走る。

「ここまで動いたのが奇跡だ」

左膝に目をやる。
皮膚と筋肉が裂けて、骨が見えている。不思議なくらい血は出ていない。
膝を曲げると裂け目が広がり骨が大きく露出し、膝を伸ばすと裂け目が閉じて見えなくなる。
膝の感覚はもうずっとない。それでも何とかペダルを漕ぎつづけてきた。
「日本じゃ大騒ぎだろうな」
ツール・ド・フランス、日本人初のステージ優勝。
今の自分の姿を中継で見ている人間は疑っていないだろう。
ゴールまで500m。でもダメだろう。脚が動かなくなり始めている。
悔しい、という気持ちはなかった。本当ならあの落車の時に、このレースは終わっていたのだ。
頑の気持ちに引っかかっていることは、別のことだった。
この左脚の動きを止めてしまえば、もう二度とこの膝は動くことがない。
そんな予感がずっと心の中を満たしていた。
自分のバイクの機械音も、沿道の歓声も、上空のヘリコプターの音も、全てが遠くなっていく。
それとシンクロするように左脚も動かなくなっていく。
頑は静かに目を閉じた。

stage-1へ続く

writer : 石井 数々

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